この時期思いだす味

私がまだ勉強をしていればよかったころの話。

それにもかかわらず勉強というものは嫌いだった私。
特にそれを強いることもなかった私の母。
さすがに受験日程前はそこにこもらざるを得なかった
私の部屋へ、大体転寝をするタイミングで
“帝国ホテルの紅茶”を淹れて、毎日持ってきてくれた。

彼女の言う”帝国ホテルの紅茶”というのは
確かに
帝国ホテルの印が入っていたようですが、
やっぱりティーバッグなりの味だったと思う。

私はその後いくらもそれよりおいしい紅茶を飲んできたと思う。

気づかずに通り過ぎてしまうことがどれだけ多いことか。
人生は実り多い。
まだまだ地方の流通しかなかった我がふるさとで、
そんなものを購入してくるのは「特別」な作業だったのだ。

斯様に味わいのある紅茶はもう飲めないことを今は知る。

About paradis

うさぎと暮らしている音楽好き そして認識の先にあるものに触れたい 世界の果てとわたしの果てが一致する その瞬間を待ち続けています

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