世界でもっとも短い小説

ちょっと前にTumblrで見つけた文章だけの物語。

「売ります:赤ちゃんの靴 未使用」

ちょっとしんみりしますね。ご存知の方も多いのかもしれません、
ヘミングウェイの単語6文字の小説だそうです。

これを見て「ほう いくらなの?」とだけ思う人というのはほとんどいない。
言葉はそれが指し示すもののラベルではなくて、
使う人がそれまで慣れてきた言葉の使い方の応用法の一つのあらわれである。
たとえば私は上の”小説”を読んで、
使われなかった靴にいままでどのような思いが注がれただろうと思う。
そしてそれが手放されたときから始まる新しい生よ幸せなれ、と思う。
(なんとなく、それは大多数の受け取る気持ちだと思います)

しかし、この”小説”、たとえば
ゆかりもない家に泥棒に入った人間がその日の成果を処分してるとか
お父さんが間違えてもう小さいサイズを買ってきてしまったとか
まあ強引ですがいろいろと別の世界も示すことができるはずです。
(バカっぽくてごめんなさい)

このような洗練のきわみの言葉に多くを費やすのも野暮ですね。

言葉は基本的にきっちりと何かを指していて、それが誰にでも同じ ということはない。
じゃあコミュニケーションの過程において我々が合意するのはなぜなのかというと
相手と、語の運用の経験のマッチングを試みているのです。
その試みによって、言葉は伝わり話は伝わり、また、言葉以上のものが伝えられる。
また、完全に合意していないなという経験もまた次に生かしていく。

言葉は世界のラベルではない。
言葉によって表現する世界は、そのときの自分と相手のコトバ経験によって決まる。
だから、コトバを豊かにする経験も、人とそのマッチングを試みる経験もどちらも、
世界を豊かにするための大切な作業なのですね。

幸せに豊かに生きてこそ人生です。
とどこかのウィトゲンシュタイン先生が言っていたような感じのフレーズを嘯いて、
今日は終わりにします。

About paradis

うさぎと暮らしている音楽好き そして認識の先にあるものに触れたい 世界の果てとわたしの果てが一致する その瞬間を待ち続けています

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